空家が危険な理由

空き家の廃墟

 空家は、総務省統計局の平成25年のデータによると総戸数6,063万戸に対して、820万戸となり、空家率は、13.5%と過去最高となった。皆様もご承知のとおり核家族化や少子高齢化に伴い必要の無くなった住宅がそのまま放置されているケースが多いことが原因です。

 空家放置の理由

 母親が介護施設に入所した!

 生前贈与を知らない!

 更地にすると固定資産税が高くなる!

 等々個人によって様々な理由・・・土地と建物は個人の資産ということで個人の判断に委ねられている側面があります。でも、国も地方自治体もこの右肩上がりに増加している「空き家」対策を興じていなければならない社会問題となっております。

 空き家は、放置しておくとかなり傷みます。換気をせずに1年も経過した家は湿気で充満し、カビやダニが繁殖し異様な臭気を充満させ、家の中の至る所に綻びが発生します。そして、将来住もうか?という考えで残していたとしても、シロアリや小動物の巣窟となり、住める状態にまでリノベーションすることに躊躇する人も出てきているのが実態です。

 空き家の出火が怖い!

火災の炎

 空き家の放火が心配!

 空き家の火災が怖い理由として、総務省消防庁の資料によると、出火原因別にみた火災発生状況では、たばこの不始末で4,048件で全体11.8%・放火は、3,437件で全体の10%・放火の疑いが3,053件で全体の8.9%・たき火が、3,040件で全体の8.9%となっております。

 将来住もうか?なんて悠長に考えて、資産である空き家を放置していても、実際はデメリットしかありません。管理としては、1ヶ月に1度は窓を開けて換気したり、庭の草木を管理したりしないと、人の気配の無い家は、ホームレスの巣窟になったり、泥棒が家中を荒らしてしまったり、地方の土地が広い空き家では、不法投棄の温床となっている空き家も珍しくはありません。

 空き家が資産から負債に代わる瞬間!

 長男Aさんの地方に暮らす母親は老人保健施設に入所していて、実家は空き家状態になっていました。Aさんは都心のマンションで家族と共に暮らしているのですが、3年後の定年を機に地方へ戻ることを決めていました。母親は足が不自由で老人保健施設から出所してくることは無い状態なので、家の管理は月に一度、長男Aさんの奥さんが、母親の見舞いと共に都心から出てくる際に、家の換気や掃除を賄っていました。

 母親は、長男が定年後に帰ってくるという理由から実家を生前贈与していました。長男も都心よりは幼少期から住み慣れた田舎暮らしは、近隣住民の付き合いも母親と亡くなった父親が長年お付き合いのある方が多いので、もし引っ越してきても近所付き合いの好で歓迎してくれることも手伝って楽しみにしていました。

 長男は出社して間もなく、奥さんから何度となく着信が入っていたことに気づきました。電話を掛けてみると衝撃の事実が待ち受けていたのです。「田舎の実家が燃えた」直ちに実家へ新幹線を乗って実家の状況を確認しに向かいました。しかし、その惨劇は想像を絶するものとなっていました。

 実家だけが燃えたというのなら、まだ耐えられたのですが、近隣の4件もの住宅を巻き込む大火災が沈火した光景は、犯罪者になったような気持ちになりました。あれだけ近隣の方も私が帰ってくることを楽しみにしていた方の家が燃えてしまったことに対する罪悪感と焦燥感は人生で経験をしたことが無いものでした。

 これから大変な事になると覚悟を決めるまでそう時間は経過しませんでした。しかし、近隣の方への損害賠償責任は、火事で焼けた自分の実家以上に大きく都心のマンションや自身が3年後に受け取る予定の退職金を充てたとしても賄いきれる損害金ではありませんでした。

 空き家の実家の出火原因は、「放火の疑い」でした。消防署の話では、奥さんが来月にはゴミだししようと玄関脇に置いていダンボール箱への付け火が原因ではないかということでした。無人の実家とはいえ、近隣住民の方とも古い付き合いの中で起きた惨劇は、資産から負債に変わった瞬間でした。